ジムが東部のブカブに飛んでから3日ほどたった頃、私に電話をくれた。
なんだか明るい声で嬉しいそうに・・・.
『ブカブはキンシャサみたいにグチャグチャしてなくて、涼しくていい感じだよ。 鳥の声も聞こえるし緑も多い。スタッフが大勢いて活気ある。 君もこっちに来て過ごしたらどうかな? そう思ったんだよ。そのほうが君にとっても良いと思うし、どう思う?』
キンシャサに置いていかれて何ヶ月も過ごさなくてはいけない私を心配して、ジムからのそういう提案だった。
ジムの思いついたこのアイディアの裏には ”キンシャサでの家探しはキャロルにお願いして・・・・” という ”もし” という条件がついていた。もしキャロルが同意してくれたら?
私もジムの提案にパッと目の前が明るくなったのだが、この ”家探し” という課題をキャロルに任せ、自分だけ”過ごしやすいブカブ” に飛んでジムと一緒に過ごす・・・・・というアイディアにはものすご〜〜〜く無理があるのでは????
電話を切ったあとに、私はできるだけ嬉しそうな表情を顔に出さないよう努力しながらキャロルにジムの提案を話した。 が、3秒後には無理、無理、無理、絶対、無理! と確信。なので直ぐに言葉を濁した・・・。
『ま、これはジムの単なる思いつきだから、あなたに家探しを任せて私だけブカブへ行っちゃうなんてね? できるわけないじゃないね〜!』
キャロルは眉間に皺を寄せながら、一気に不快の意向を表明したあと、" It's too much for me" と結んだ。
ごもっともでございます。 だいたい、キャロルの仕事のタイトルとか任務とか私は良くわかっていないのだけど、要するに家探しは自分の任務外だと彼女は言いたいのだ。 ジムもキャロルが毎日何をしてて、どれだけ忙しいか、ちゃんと把握してないようだし・・・・・。
こりゃ、無理だ、どう考えても。
私はテンパってしまったキャロルにはっきり言った。
『あなたに家探しを手伝ってもらって早く家を決めましょう! 今居るこのアパートを4月にたたんで、あなたも一緒にタウンハウスに引っ越す。送った荷物を空港から新しい場所に移動して、それから私はブカブ行きを考える。』
これなら文句ねーべっ!
本当はもっとガツンと言いたいところだったが、この先一緒に過ごさなくてはいけない時間も考えて謙虚に謙虚に・・・・。キャロルも納得したようだ。(彼女は5月にはR&Rとバケーションをプランしているようなので、実質5月は2週間しかキンシャサに居ないし、コントラクトは6月10日まで。)
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今日から私もジムの居る東部のブカブ、キブ地域について、IMCのプロジェクトについて勉強を始めた。 IMCのウェブサイトも参考になるが、もっと分かりやすいのはYuTubeだった。
http://youtu.be/W1lS3T-u0Ls
そのビデオによると、IMCのプロジェクトはとてつもなく大きくて、私を呆然とさせる。
正直言って(ここだけの話だが)、私はジムがマラウイの仕事を辞任したいと言い出した時に、この人にどれだけリーダーとしての脂質(おっと、間違い!)資質があるのかまじめに悩んだ。 自らチャレンジに向かって進んでいくエネルギーはすばらしと思うけど、本当にこの仕事が向いているのか? 本人も同じように悩んでいた思う。 辛い時期だった・・・。
ところが、辞任を表明したあと、私の懸念はすべて吹っ飛んだ。 部下達が1人1人直談判でなんとか考え直してくれないかとジムに頼みに来たのだ。 結果的にそれは無理だったが・・。
それにスタッフが催してくれたフェアウェル。 これには驚いた。人が口だけのお世辞で言っているのか、本心かを見抜くのに、私は十分長く生きていると思うのだが、30数名いるスタッフにとってジムがどういうリーダーで、どういう存在だったのかが皆の言葉から手にとるようにわかった。 1人のマネージャーが私に『み〜〜んな彼のことが大好きだったのよ。 色々なところで働いてきたけど彼のようなリーダーは今まで見たことないわ。。彼から色々なことを教わったしね。 だから皆悔しがってるの』
そうだったのか・・・・。 私はジムのもう一つの顔を10年間見過ごしていたようである。私の知っているジムはどう見てもソーシャルじゃないし、無口だし・・・。日本で、私の家族と過ごす時などは、”借りてきた猫” みたいにおとなしいから。 が、また1つ旦那の良いところを見つけたわけだ。
が、飛び込んだ先のこのコンゴの状況。 あ〜〜、また私の心配は後を絶たない。 良いチームなくして、成功は難しい。マラウイのチーム作りのように自分でゼロから1つ1つ作り上げたチームと違って今回は既にチームも出来上がっていて問題が発生しつつある。それを修正しながら自分のチームとして作り上げていかなくてはならない。 こういう場合(チャドでもそうだったが)”反対派”みたいな人達が必ずでてくるのだ。 辛抱強く1つ1つやって行くしかないだろう。
ここまで来たらやるしかない。 腹を決めなくては・・・。
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写真はケープタウンのペンギンシリーズより;
『こいつの産毛、へんなの〜、襟巻きみて〜な?』『ほんとだ、ほんとだ、へんなの〜っ!』
『ほっといてくれ、もうすぐ全部なくなるっちゅうーの。』
そうそう、「辛抱強く一つ一つ」が大事だ。私の尊敬する人に教えてもらった名言を伝授しよう。
ReplyDelete“我慢に限界はない”
勉強になるでしょ?
しかし私には到底マネできない。
そして、その私の尊敬する人は大変な短気だ。
≪組≫