Wednesday, August 4, 2010

MAD WOMAN <狂った女>

1年がかりで取り組んでいる私のプロジェクト、フリップチャート(紙芝居形式の教育資料)の完成を迎える時がきた。
イラストページにある英語部分を現地語に訳してから、また、数人のマラウイアンに目を通してもらい、またクリニックでお母さん達にも見てもらった。
チチェワの難しいところは発音した言葉を聞こえた通りに文字にするらしく、3人のマラウイアンに訊ねると3人3様の綴りの返事が返ってくる。 
私にとってみたら、まったくもって雲を掴むような仕事だ。 誰を信じたらいいのか?  『そうね〜、こっちの綴りのほうが、本当のチチェワに近いのかもしれないわ?』 な〜〜んて言われちゃう。『このなが〜〜い綴りは1つの単語なの? それとも3つの単語?』 これも人によって答えが違う。 

ここ数日、印刷を前にした私は目を皿のようにして、コンピュターと向き合った。最終チェックだ。イラストのチェックとスペルチェック。
週末の私の作業状態を見た主人が 私のことを ”Mad Woman" と表現したのは、髪振り乱して最終調節をしていた私が異様に見えたからだろう。

私は幼い頃、潔癖性だった時代がある。(主人は信じないだろうな?) たぶん10歳くらいまで。 髪の毛1本布団に落ちていたら眠れなかった。 廊下に脱ぎ捨てたスリッパが少しでもまがって並んでいたら嫌だった。お父さんの枕、お母さんの枕もきちっと一直線に並んで置かれていないと嫌だったし、シーツに皺でもよっていようものなら、100回でも起き上がってシーツをなおさなくては眠れなかった。 学校でもそうだ。 廊下に紙くずが落ちていたら拾わずにいられなかったし、放課後、教室や廊下の窓が開いていたら閉めてからでないと下校できなかった。もちろん引き出しの中はいつでもピシッと物が整理されていたのは言うまでもない。 毎日、毎日自分の決めたルールが一杯ありすぎて、それはそれは大変な子供時代を過ごした。担任の教師はそんな超神経質な私を心配した。このままでは身体がもたないと・・・・。 

そんな私も小学校の5年生を過ぎた頃から変わっていった。 母親の私への接し方がかわったので、私の潔癖性も少しずつ変わって行ったのだ。 高校生になったころには変わりすぎて、もう少し潔癖性を温存させたほうがよかったんじゃない? というほどズボラの性格に変わってしまった。 引き出しの中はグジャグジャ、部屋も散らかし放題、洋服もたためないしベッドメイクもできない。 幼い頃の私は何処へいったのか? 今ではクローゼットを開けるとだまになったTシャツが溢れ出すありさま。とても人には見せられない。

私の潔癖性は完全に姿を消したかのように思えた。 が、ここに来て、私の潔癖性が顔をだした。 グラフィックだ。 とにかく1ミリが気になってしかたない。 完璧にしたいと思っているわけではない。 完璧なんて出来るはずがない。 私は素人だもの。でも、見えてしまった欠点を見て見ぬ振りできないのだ。 今はボランティアでグラフィックをやっているからいいものの、これが本職だったらこの性格を直さない限り私はやっていけないだろう。身がもたない。 

昨日、ゼロックスというプリント会社で75ページの両面印刷とラミネートを完了した。 プリントは例のスペシャリストが手伝ってくれたので、順調にいった。(彼も少々潔癖性の気があるから。)が、そのあとのラミネートは大変だった。予想していた通り、紙が薄いのでラミネートがよれたり、カールしたり、波打ったりしてしまうのだ。 マネージャーは ”オッケーだよね!” という。 が、私の中の潔癖性の朋ちゃんが顔をだしてしまって、許せない。”これじゃ、お金払えないよ!” と私。ここで完璧を要求しても仕方ない。自分に言い聞かせながら、角のよれた物もオッケーと認めて妥協に妥協を重ね、6時間かかって終了した。もし妥協していなかったら印刷のし直しとラミネートのやり直しで、その日のうちに終わらなかっただろう。

マッドウーマンはまだ、私の中に生きているようだ。

さ〜今日は出来上がったページを他の印刷会社に持ち込んでバインディングだ。 
今日の私はマッドウーマン? それともハッピーウーマン? お願いだから、今回は失敗なくバインディングを終えて欲しい。


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