一ヶ月、一番寒い季節の日本で家族と一緒に過ごした私。 去年の秋に戻る予定が延期になり、首をなが〜〜くして待っていてくれた母。 いつもそうなのだが、私は帰国すると毎日出歩いてばかりで母と過ごす時間が殆どとれないまま終わってしまうのだ。 今回はできるだけ母と一緒に過ごそう。 家でご飯を作って一緒に食べよう、そう思って帰ったのだが・・・。
最後の1週間だけ、一緒に過ごせたかな?
3月17日で87歳になる私の母はシミのない綺麗な肌とふっさふさの多い髪のお陰でどう見ても87歳には見えない。 が、ここ数年、足腰が弱くなり腰が曲がり外出する時は杖が必要になってしまった。 が、それでもあっぱれ、我が母なり。 猫の慎之介と2人で一軒家に住み、週一回の体操教室、プラス、手芸のボランティアにも出かけていると言うのだから頼もしい。
それほど気丈な母なのだが、一緒に旅行しようか? と聞くと、転ぶのが怖いといって気が進まない様子だった。 それに糖尿病の猫が心配でお泊まりはちょっと、と言うのだ。
が、行ける時は今だ! 私達はお隣さんに猫の世話を頼んで、2人で箱根に一泊する事にした。 2月28日。 この日は母の結婚記念日。 天国の父も一緒についてきてるよね、と2人で言いながら、小田急ロマンスカーで遠足気分にひたった。 母は温泉の浴室で転んだら大変とばかり、かなり緊張していた様子だったが、楽しかった。 思いきって行って本当に良かった。
ところが翌日の雪。 登山電車が停まってしまった。
幸い、お昼頃までお部屋に待機している間に登山電車が復帰してくれた。 ロマンカーは完全に不通になって乗れなかったが、のんびりと帰ってきた。 寒かった!
母が私の為に作ってくれた物がある。 布絵本とマスコット人形の”長靴を履いた猫” だ。
今日、スーツケースを開けて荷物の整理をしていると、この2ツが出てきて、涙がこみ上げてきた。 私が来るというので、わざわざ私の為に作ってくれた母の作品。 いつもの事だが、今回はもの凄く母の気持ちが伝わってきて、どうにも涙がとまらない。 何歳になっても洋裁と手芸の達人として色々な物を作り続けている母なのだが、私に持っていて欲しいと言って手渡されたのだ。
何時でも家のなかにこういう物が一杯溢れていて、家族は母の作品にあまり驚いたりしないのだが、私に持って帰って欲しいという母の気持ちが痛かった。
自分が87歳になった時に針と糸を持ち続け、母のようにクリエイティブに生きられるのかと思ったら、母はとんでもなく凄いことをしていると思うのだが、本人の前でそういう私の気持ちを伝えられなかったのが悔やまれてならない。
来年もまた絶対に帰らなくちゃ・・・・。
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